EMODAエモダ、MURUAムルーア、dazzlinダズリンの明日は!?売上減少を象徴するプロデューサー退任とファストファッションの隆盛
109系と呼ばれるブランド達
今回はレディースのお話。
EMODA/エモダ、
MURUA/ムルーア、
moussy/マウジー
CECIL McBEE/セシルマクビー・・・などなど。
「109系」と呼ばれる109ビル発のレディースヤングカジュアルブランドが現在瀕死の危機に直面しています。
ギャルの聖地と呼ばれたSHIBUYA109ですが、
その成功は「脱ギャル」とも言える戦略の仕方。
「ギャル」という狭い市場だけでなく、
ギャルを卒業した30代レディースや、
ギャルとは無縁の一般層をも取り込むべく、
トレンド感とファッション感度を大切に物作りをしてきました。
その結果、上記ブランド群は全国各地に店舗を展開。
幅広い層に支持され、109から全国へと拡散していきました。
また他方、「プロデューサー」などと呼ばれる「ブランドの顔となる人間」を設定、
実際のデザインなどに関わるか関わらないかではなく、
「可愛くてオシャレなカリスマをブランドの顔としてみせる」ことで、
店舗でしか会えなかった109名物「カリスマ店員」を全国区に広げることが出来ました。
幅広い層にウケる物作り、
ファン構築に一役買うプロデューサー、
その二軸で109系ブランドは拡大の一途を辿ります。
ファストファッションに押されつつある現在
しかし最近になってこれら109系ブランドに陰りが見え始めました。
その大きな要因の一つは「ファストファッション」。
ユニクロやH&MやZARAなどを代表する、
製造小売まで一貫して世界規模で展開する超低価格業態。
H&M上陸の際によく言われたいたことが、
「品質を気にする日本人にはウケない」
「トレンド感を追いかけても結局品質が悪い、すぐに撤退するだろう」
と評論家もこぞって「日本では無理!」と断言していました。
しかし蓋を開けてみると、レディース市場では見事109系の売上を吸い上げ、
都市部だけでなく地方まで店舗展開を広げていく破竹の勢いです。
ファストファッションの強みはトレンド感。
H&Mは特にそうですが、1ヶ月同じ売り場が続くことがないというくらい、
商品の入れ替え時期が早いです。
トレンドを意識して消費者が「今欲しいアイテム」を今作るのが強み。
通常のアパレルブランドは企画生産まで半年程度要するのですが、
H&Mはそれを実に短期的に実現するだけの生産背景を整えています。
いかにトレンドに強い109系ブランドといえど、
「これがトレンドだ!」と100%当てることはできない。
しかもトレンドがわかって生産に着手しても半年程度かかってしまう。
ところがH&Mは今需要があるものを今供給できるのです。
品質などは結局関係なく、多くの女性が必要としていたのは「トレンド感」だけだったのです。
止まらないプロデューサー退任
109系ブランドの凋落は著しいものがあり、
その筆頭とも呼ばれたEMODA、dazzlin、MURUAなどを多数の109系ブランドを抱える会社「マークスタイラー」も着手していた複数のブランド開発を断念。
現状売れている幾つかのブランドにリソースを集中し、巻き返しを図ると発表。
またプロデューサー達もかつての輝きを取り戻すことはできませんでした。
象徴的なのがEMODAプロデューサー、カリスマと呼ばれた「松本恵奈」の退任。
それ以外にdazzlinのディレクター「近瑠美」なども2015年を持って退任となっています。
「物作りの背景まで見たい」
マニア・オタク気質なメンズ市場と違いレディースは、
「安く、手頃に、オシャレに見えるものであればそれでいい。」
といった現代的な消費傾向。
WEBツールの発達で情報が拡散されやすくなった今、
トレンドの移り変わりも以前よりずっと早くなりました。
スタンダードがベースとなるメンズと違い、
トレンドを敏感に察知するレディース市場ではH&Mの圧勝ということになるのでしょう。
109系ブランドは巻き返しを図るべく様々な手を打っています。
果たしてレディースブランド勢力図は今後どうなるか・・・注目が集まります。