A.P.C./アーペーセーのデニムは買うべきか?品質はどうか?「岡山産」プチスタンダードデニムの魅力
生デニムブーム到来で脚光を浴びたA.P.C.
2012年あたりからメンズファッションに生デニムブームが到来した。
80〜90年代のトレンドリバイバルに伴い、
生デニムやトレンチコートなどのフレンチカジュアルスタイルが再注目されたのだ。
当時トレンドだったA.P.C.やアニエスベーが再び脚光を浴びることになった。
A.P.C.側としてはかつてないほどのデニムの販売本数を記録。デニム売上の昨年対比は140%以上だとも聞いた。
トレンドが少し落ち着きはじめた今でも相変わらずA.P.C.デニムを買い求める人は多い様だ。
A.P.C.も生デニムブームにのっかり新しいモデルを開発。
「プチスタンダード」と「ニュースタンダード」というA.P.C.きっての人気2モデルの良いとこ取りをした新バージョン「プチ・ニュースタンダード」を発売した。
ウエスト周りがややゆったり、裾がかなり細くなったトレンドの「テーパードシルエット」は市場で爆発的人気に。
常に在庫を持っており安定供給しているA.P.C.のデニムだが、このモデルばかりは取扱店はどこも完売。追加生産が追いつかないほどだった。
バランスのとれた「細すぎず太すぎず」のシルエットは今のトレンドにマッチ。
トレンドに敏感な都内渋谷あたりでは大変に多くこの形を見かけた。
A.P.C.デニムの品質は?
「デニムの聖地、岡山で作っている」
「オールドリーバイスと同じ機械を使った素材」
などそれらしい文句が並ぶが、実際のところはどうなのか?
「極上の品質」などと無責任にも書いている通販サイトは幾つかあるが、
まずデニムに詳しい人がA.P.C.のデニムを見れば、品質は概ね分かる。
少なくとも「極上」などと表現できるものではない。
確かに力織機を使ったセルヴィッヂデニムを使用してはいるが、
ヴィンテージデニムのレプリカを作っている「本気のデニムメーカー」には及ぶべくもない。
The Real McCoy'sやFULLCOUNTといった16oz以上のデニムを生産しているメーカーを愛用している「ヴィンテージデニムマニア」からすれば、
A.P.C.は「普通のデニムでしょ?」と思われるだろう。
「品質」 の定義にもよるが、A.P.C.が最上位なんてことはまずもって有り得ない。
デニムの聖地岡山での生産を謳うメーカーは多いが、
実は同じ岡山でもデニムの工場は山ほどある。
ディオールなどのハイブランドを扱う高い工場もあれば、
ユニクロなどのファストファッションを扱う安い工場もある。
もちろんそのクオリティには雲泥の差があるらしく、
一概に「岡山だから」と品質を担保することはできない。
実はメガネ業界も同じ現象が起こっている。
「メガネの聖地、鯖江で作っているから品質は抜群!」などと書く通販サイトは多いが、
同じ鯖江でも業者は非常に多い。
玉石混交とまでは言わないがレベルの差は大なり小なりあるだろう。
実際「鯖江メイドなのにこの品質か・・・?」と思われるブランドも非常に多い。
日本人を「ブランド信仰」と揶揄することはよくあるが、「産地信仰」 も同様。
「産地」が品質を確実に担保する訳ではないことを覚えておいてほしい。
・・・とここまで書いておいて難だが、A.P.C.のデニム品質は決して悪くはない。
「最上」や「極上」ではないが、「良品」とは言えるだろう。
比較的手頃な価格設定となっているし、コストパフォーマンスも褒められるレベルではないだろうか。
しかし、品質でオシャレが決まる訳ではない
また当たり前のことだが、「品質」が「オシャレかどうか」を決める決定要素ではない。
むしろ「品質」のことばかり気にして、
どこからどう見てもオシャレになれていない「洋服マニアおっさん」は山ほどいる。
「このコートは機能性がすごいから」
「このレザーは某地方でしか獲れない貴重なものだから」
だからどうした?といったところ。
A.P.C.の品質について書いたが、別に品質がオシャレを担保する訳ではない。
そのあたりは誤解なきよう。
「プチニュースタンダード」はA.P.C.きっての極上シルエット。
品質など気にせず、シルエットの良さを堪能すれば良いだろう。